道頓堀は、大阪・上方の芸能と食の文化を提供する場、上方を代表する「ミナミの看板」として、400年もの間、他の地域にはない独特のまちの魅力が受け継がれてきた。道頓堀は、庶民にとってハレの場であり、道行く人たちに“まち”の楽しさや感動を与える存在であったが、近年、劇場の閉鎖や用途の変更など道頓堀を取り巻く環境が変化してきている。
こうした状況のなか、道頓堀商店会では、これまで会員参加の懇談会や有識者を迎えた「まち衆セミナー」などを重ねて、平成19年に「まちづくり構想」を策定し、「まちの品格と秩序 そして活性化」を基本理念として、放置自転車対策、清掃活動、客引きパトロールなどに取組んできた。また、「道頓堀川開削400年」を迎えるにあたって、「さまざまな世代や国・地域の人が楽しみ、喜び、驚きなどを体感する“ライブ・エンターテインメント”のまちの復興と創造」を打ち出し、とんぼりリバーウォークにおける道頓堀盆踊りの開催などを推進してきた。
ここ数年、円安やビザの緩和、LCCの就航増加などの影響により、海外からの来街者が急激に増大し、多くの人でまちの賑わいが維持されているように感じられるが、国内の来街者は減少傾向にあり、海外からの来街者は社会環境の変化に影響を受けやすいため、急激に減少することも懸念される。商店会としては、先行き不安の将来を見越した対策を立てる必要がある。
道頓堀商店会では、100年後も賑わいのある“道頓堀”であり続けるために、「まちの品格」の維持や「“ライブ・エンターテインメント”のまちの復興と創造」によるまちの魅力の創造が必要と考えており、「和を以って貴し」「感謝の気持ち」といった商店会活動の基本理念も込めて特別委員会「道頓堀500」を立ち上げた。
当委員会では、中長期的に将来のあり方を考え、実行に移していくために、会員の皆さまに積極的にご参加いただき、他の先行事例にも学びながら、これまで議論されてきたまちのビジョンの再確認、エリアマネジメント(まちの価値の維持・向上に向けたまち全体の経営)の具体的な取組みについての検討を行った。
まちの現状と課題の再整理、これまで議論を再確認しつつ、将来を見据えたまちのビジョンを再構築し、会員の皆さんとコミュニケーションを深めながら共有した。
国内外でさまざまな取組みがみられるエリアマネジメントの事例を学ぶとともに、共有したビジョンの具現化に向けて、商店会で必要なサービスや財源確保方法など新たな仕組みを検討した。
地域経営を進めるにあたって、オーナーによる資産価値の維持・向上、テナントの販促強化など、それぞれの目的と役割を整理し、会則等の変更も含めた新たな組織体制の構築を行った。